Jack Merluzzi (ナレーター、スタジオオーナー、声優)とのインタビュー

Updated: Oct 23


ジャックの声を一度はどこかで聞いたことがあるでしょう.....

アメリカでは Mario Cart Arcade DXやMega Man、F Zero、Tekkenなどが好評を博し

ていますが、日本国内ではNHKのリトル・チャロ「ドレッド」役をはじめ、NHK World

や各種ドキュメンタリー番組、Cool Japanの男性パートを全て担当。


1. Covid-19以降、仕事面で変わったことはありますか?

東京の「ロックダウン」が発令された直後は、一日中3~4件あった仕事が週2~3件程になりました。そのほとんどがコロナ関連のニュースや科学番組でした。それ以外は、何もなく過ごしていました。

半年経った今、仕事量は回復してきたものの、以前に比べればまだ50%程度のペースです。

スタジオ関係者やプロデューサーの方々が私たちの安全を守り、快適に過ごせるようにと努力してくれていることにとても感銘を受けました。

今では馬鹿げているように聞こえるかもしれませんが、最初の頃は、みんながアルコールスプレーや除菌ウェットテッシュを買い占めていたので、ナレーター用にスプレーボトルをブース内に置いてくれたことは、とてもありがたかったです。うっかりドアノブに触れてしまい、且つ、きれいにするものがなかった時は、精神的な負担につながるからです。

革新的なスタジオや企業は、どのような時も前進し続けようとします。彼らは創造を続け、自分たちの仕事や作品を世に送り出したいと考えています。だからこそ、空調設備やバリアシールドの追加や全員を別々に収録、合間に換気の時間を設定、席のレイアウト変更、土壇場での予定再調整......と、私たちの安全を守るために多くのことが行われてきました。

しかし最終的には、自分自身のプライベートスタジオで、1人で収録することほど安全なものはありません。リモートレコーディングは、私にとって突然とても重要なものになりました。

2. 現在どのくらいの割合でリモートワークになっていますか?

残念ながらスタジオ再開に伴い、その数は減ってきていますが、月に一度の定期的なギグがリモートワークになっているのが一番嬉しいですね。

一度か二度、リモートレコーディングをやってみて (確かに進んでそうしたわけではないですが)、知り合いのディレクターたちはリモートレコーディングを好むようになってきました。

ロックダウンやソーシャルディスタンスの状況下でポジティブな点を見つけるのは難しいですが、プロジェクトチームにロジスティクス(サンプルレート、安全なデジタル配信方法、ライブモニタリング/トークバック、その他の細かい部分等)の調整をさせることで、一度設定してしまえば難しいことではないと理解してもらうことができました。

仕事の中には、もっと簡単になるものもあります。

例えば、ドキュメンタリーの場合、「誰かの考えを話す」、もしくは、日記の数行を読むためにメインナレーター以外の声が求められることがよくあります。以前は、スタジオまで1時間の移動時間を考慮して、編集者やプロデューサー、エンジニア、ディレクター、翻訳者、言うまでもなくスタジオ自体も30分〜1時間のスケジュールを確保していました!収録後、時間通りに次のスタジオに向かうため、さらに1時間のスケジュールを組む必要がありました。たった数行の収録のために、移動→収録→移動で3時間!

今ではクライアント(NHKなど)が夕方に台本を送ってくれて、数分で収録してすぐに送り返すことができます。リテイクがあるかどうかクライアントはすぐにチェックでき、私自身も当日中に対応できます。通常は3種類のテイクを送りますので、その中から選ぶことができます。翌朝、メインナレーターの録音をしながら、私の事前収録済のテイクを貼り付けることが可能です。隔離されたソファから離れている時間はほんの20〜30分ほどです。

あるディレクターは、コストと手間がかかるので、過去にはそのような収録を避けていたと認めていますが、今では、完成品を向上させる簡単な方法になり得るため、機会を探っているそうです。


3. パンデミックが終われば、日本は以前のような状況に戻ると思いますか?

アメリカでは、ボイスワークの大部分はオンラインでリモート録音されています。しかし日本では、対面で仕事をすることが好きです。部屋の中で、全員でプロジェクトについて話し合い、最初に共通認識を持っているか確認することを好みます。

どのスタジオも1時間もかからない距離にある東京であれば容易でしょう。大阪のスタジオでさえ、新幹線に乗ればすぐです。

蒸し暑い夏の日や吹雪の中、汗だくになりながらスタジオを探すのは決して楽しいことではありませんが、日本を拠点とするタレントにとっては、それが職の安定につながります。クライアントは直接顔を合わせたいと思っているので、海外の声優を探すのではなく、現地の声優を雇うのです。

日本のディレクターは可能な限り同じ空間で仕事をしたいと考えているのでしょうが、その場合、スタジオのレイアウトは変えていかなければなりません。それはテレビのバラエティ番組でも目にしてきました。違和感なく交流させながらもタレント間の距離を置く新しい方法。

4. あなたが取り組みたいと思う、リモートレコーディングに関するよくある誤解/問題/利点は何ですか?

"録音ボタンを押せば、ほぼ終わり!" 収録セッションの後には、やるべき作業が数多くあります。もちろん、プロジェクトによってはそのままの音声を必要とする場合もありますが、その他は、編集やクリーニング、マスタリングを全て行い、できるだけ早くウェブサイトに掲載できるようにします。幸いなことに、私はラジオやテレビの放送業界で長い経験があり、ディレクションや編集からサウンドデザインやエンジニアリングまで、あらゆる仕事をしてきました。私の学位は通信を含めた電子工学で、それに加えてハイテクなもので遊ぶのが好きなのです。私がスタジオを持っていて、自分でレコーディングをしていると最初に言ったとき、あるエンジニアは驚いて「編集ができるの?」と聞かれました。はい......もちろん!他の声優が持ち合わせる技術ではないことを忘れていました。基本的なことを学ぶのはそれほど難しいことではありませんが、誰もがその手の本質を楽しめるわけではありません。

スタジオに入り、エビアンを手渡され(エビアンは全然好きじゃない!)、数行読んで、次の仕事のために車で夕陽の中へと去って行くというような華やかなナレーションも時にはあります。しかし、「舞台裏の仕事」も時間内にすべて終わらせなければならない。そして今、COVID-19のおかげで、ようやくそれができるようになった。

ソーシャルディスタンスが叫ばれる前から、私の持つ技術的なバックグラウンドはナレーションの仕事を向上させ、間違いなく私のキャリアにプラスとなりました。編集の仕方を知っていると、例えば、パンチインの時にイントネーションを合わせることが自らできたり、ディレクターがビデオに合わせて私のボーカルをスライドさせたいと思う場面で、フレーズの間に(息継ぎなしで!)わずかなポーズを入れるようにすることを考慮できます。私が少しでもエンジニアの仕事が楽になるようにしていることが伝わる、それを喜んでくれるエンジニアがいるのだと自負しています。

4月に戻りますが、常連のクライアントの1つがロックダウンのためにいつものスタジオを予約できなくなってしまいました。今年はこれまでに5つのプロジェクトを行ってきましたが、その1つは5冊の本のナレーションで構成されていて、各章に複数のファイルが入っている30章から成る本でした。計算してみてください。何百ものファイルがあります。効率的に収録する計画を持っていない場合、最小限の編集を維持し、おそらく最も重要であろう、全てのファイルを整理するには、大変な思いをすることでしょう。そして、リテイクの話もしないようにしましょう! これだけの量があって延々と何時間も収録を続けていれば、ミスはすり抜けてしまいます。ありがたいことに、クライアントは最終チェックの責任を負うことを喜んで引き受けてくれました。

5. 半年が経ちましたが、次の半年は寒い時期を越えてどんな風になると思いますか?

冬の訪れと共に、「新しい普通」がどれだけ違うのか、すぐに分かることになるでしょう。スタジオは音質の管理が徹底されるよう作られています。そのため、十分な空気の流れによる部屋の換気はとても難しい構造です。また、湿度が機器に悪い影響を及ぼすため、非常に乾燥した状態に保たれています。しかし、いくつかの研究では、病院内の低相対湿度が感染率の高さと相関関係にあることが関連付けられています。

多くの全く新しい働き方が首尾よく実行に移されています。ワクチンが手元に届かない状態が長く続いた場合、私たちは共に安全に働くことができるようにスペースを抜本的に再構築していくことになるでしょう。

私のスタジオをバーチャルツアーしたい方のために、ここにリンクを貼っておきます。

https://youtu.be/dvhnEYnhLxA

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